ブログ:学校へ行こう、孤独と闘うタイの高齢者たち

ブログ:学校へ行こう、孤独と闘うタイの高齢者たち
 5月9日、タイの首都バンコクから北に約80キロ離れたアユタヤ県では、60歳の一行が、赤と白のパリッとした制服を着てバスに乗り込み、満面の笑みを浮かべて学校に通っている。3月撮影(2018年 ロイター/Athit Perawongmetha)
[バンコク 9日 ロイター] - タイの首都バンコクから北に約80キロ離れたアユタヤ県では、60歳の一行が、赤と白のパリッとした制服を着てバスに乗り込み、満面の笑みを浮かべて学校に通っている。
タイの人口動態が変化し、ますます多くの高齢者が独り暮らしをする中、この一行だけでなくタイ全土のシニアたちにとって、通学は孤独と闘う方法を提供してくれる。
「制服を着て、学校に行き、友達に会える毎週水曜日を楽しみにしている。話をして一緒に笑ったりできる」と、77歳のソムジットさんは言う。彼女はアユタヤ県チアンラックノーイにある高齢者のための学校に通う生徒だ。
40年連れ添った夫を亡くしてから、子どもたちが時折たずねてはくるものの、喪失感から立ち直るのを助けてくれたのは学校だったとソムジットさんは語る。
ソムジットさんの話は、タイで大きな問題となっている急速な高齢化を象徴している。
タイは中国と並び、アジアで最も急速に高齢化が進んでいる国だ。世界銀行によると、タイは2040年までに、東アジアの新興国で人口に占める高齢者の割合が最も高い国になると予想されている。
タイでは、750万人に上る65歳以上の人口が、2040年までに1700万人に膨れ上がり、人口の4分の1以上を占めるようになると予測されている。
伝統的に、タイの高齢者は家族と暮らし、子どもが彼らの面倒を見ていた。だが、多くが地方を離れて都市部で働くようになり、独り暮らしをする親や祖父母が増えている。
アユタヤにあるような学校では、3カ月の間、週に1回クラスを提供する。政府はこのような形で高齢者が独り暮らしのストレスから解放される場を提供している。
「日々生きていくということはストレスがたまる」と、63歳の男性は言う。
「寂しく感じることもあるだろうが、クラスで学び、知識を得たことを誇りに思う」と、金飾りの付いた赤色の卒業ガウンと花冠をまとった男性は、2018年同期生の写真撮影を終えてこう語った。
(写真:Athit Perawongmetha 文責:Amy Sawitta Lefevre、Juarawee Kittisilpa)

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