インタビュー:時価総額には全然興味ない=山田メルカリCEO

インタビュー:時価総額には全然興味ない=山田メルカリCEO
 4月2日、フリーマーケットアプリを手掛けるメルカリの山田進太郎会長兼最高経営責任者(写真)は、ロイターのインタビューで、株式上場について「どこかのタイミングではやる」と述べるにとどめ、詳細の言及は避けた。都内で撮影(2018年 ロイター/Yoshiyasu Shida)
[東京 2日 ロイター] - フリーマーケットアプリを手掛けるメルカリ(東京都港区)の山田進太郎会長兼最高経営責任者(CEO)は2日、ロイターのインタビューで、株式上場について「どこかのタイミングではやる」と述べるにとどめ、詳細の言及は避けた。
時価総額については「全然興味がない」と語り、時価総額ありきの経営から距離を置く姿勢を示した。
同社は3月、第三者割当増資で50億円の資金を調達した。バリュエーション(評価額)は発行価格・株数を単純計算すると2500億円超となる。山田CEOは資金使途について「具体的なものがあったから調達したわけではない」とした上で、海外事業や新規事業に重点的に資金を振り向けていく姿勢をあらためて示した。
「ひとつは海外。あとは良い事業が出てきた時に即座に投資できる体制にしておきたい」。
同社は2014年に米国に進出。3年で3000万ダウンロードを達成した。山田CEOは米国事業について「徐々に浸透しつつあるが、浸透度はまだ低いので、もっと知ってもらうことが必要だ」と述べ、マーケティングを強化していく方針を示した。
「3月にアプリのデザインを変え、日本版と米国版は違う形になった。これから半年くらいは新しいコンセプトを宣伝していく」。採用や開発など現地化をさらに進め、米国に合わせたサービスを展開していく。
メルカリは昨年、東京証券取引所への株式上場を計画していたが、いまだ実現していない。山田CEOは「会社が目指しているところは、社会の公器に近い部分だ。公器になっていくというのは、方向性としてはそっち(上場)に向かっており、どこかのタイミングではやることになる」と述べたが、詳細についての言及は避けた。
時価総額については「全然興味がない」と指摘。「重要なのは顧客にどれだけ付加価値を提供できるかだ」と述べ、時価総額ありきの経営から距離を置く姿勢を示した。
情報技術(IT)業界は、世界的に寡占化の弊害がクローズアップされつつあり、競争当局も関心を寄せている。メルカリも個人間(CtoC)取引のインフラを目指している以上、いずれその矛先が向く可能性がある。
これについて山田CEOは「独占が問題になるケースが増えてきているとは思っている」としながらも、「巨大企業が独占して価格を上げようとしても、それを機に他のところが入ってくる」と述べ、競争原理は機能しているとの見方を示した。
規模拡大に伴い批判されることが多くなったことについては「メルカリがインフラ化している部分もある」と指摘。「昨年は現金出品や盗品などの問題などがあり、お叱りを受ける機会があった。スタートアップという形で生き残りをかけてやってきたが、そんなふう(インフラ化)に思われていることに気付かなかったのが大きな反省だ」と述べ、対応を強化していく姿勢をあらためて示した。
「問題が起こりにくい状態にするのが、社会の公器になるには非常に重要だ」(山田CEO)。
*チャンネルを追加しました。

志田義寧 山崎牧子

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