出口を具体的に検討する局面でない、強力緩和を推進=黒田日銀総裁

出口を具体的に検討する局面でない、強力緩和を推進=黒田日銀総裁
 2月8日、黒田東彦日銀総裁(写真)は午後の衆院予算委員会で、金融緩和を縮小するいわゆる出口戦略について、2%の物価安定目標の実現には距離があり、出口のタイミングや対応を具体的に検討する局面には至っていないとの認識を示した。写真は都内で2016年5月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 8日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は8日午後の衆院予算委員会で、金融緩和を縮小するいわゆる出口戦略について、2%の物価安定目標の実現には距離があり、出口のタイミングや対応を具体的に検討する局面には至っていないとの認識を示した。福田昭夫委員(無所属の会)の質問への答弁。
総裁は欧米の中央銀行が金融政策の正常化を進めている中で、日銀についても「現在の量的・質的金融緩和の出口戦略について検討すべきとの意見があることはご指摘の通り」としたが、物価が1%台半ばに上昇している欧米に対し、「日本の消費者物価の前年比はエネルギー価格の寄与を除き、小幅のプラスにとどまっている」と指摘。
2%の物価安定目標の実現までには「なお距離がある」との認識をあらためて示し、「いわゆる出口のタイミング、あるいはその際の対応を具体的に検討したり、示す局面には至っていない」と語った。
そのうえで、日銀として「引き続き、現在の強力な金融緩和を粘り強く進めていくことが日本経済にとって必要だ」と繰り返した。
また、長期国債の買い入れについて、現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)政策のもとでは「実際の買い入れ額は、金融市場の状況に応じてある程度の幅をもって変動する」と説明。上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)の買い入れは「これまでのところ大きな役割を果たしている」とし、今後も現行ペースでの買い入れを続けていく方針を表明した。

伊藤純夫

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