インタビュー:日本株に最も強気、為替は50%ヘッジ=蘭NNIP

インタビュー:日本株に最も強気、為替は50%ヘッジ=蘭NNIP
 12月12日、オランダの資産運用大手NNインベストメント・パートナーズ(NNIP)のヴァレンタイン・ファン・ニューウェンハウゼン最高投資責任者(CIO)は、ロイターとのインタビューで、グローバル株式の中で日本を最もオーバーウエート(強気判断)していると話した。写真はロンドンで昨年11月撮影(2017年 ロイター/Luke MacGregor)
[東京 12日 ロイター] - オランダの資産運用大手NNインベストメント・パートナーズ(NNIP)のヴァレンタイン・ファン・ニューウェンハウゼン最高投資責任者(CIO)は、ロイターとのインタビューで、グローバル株式の中で日本を最もオーバーウエート(強気判断)していると話した。
世界同時好況の追い風に加え、政権の安定性、金融政策の継続性などを評価している。また、為替ヘッジ比率を数年前の100%から50%に引き下げたことを明かした。
NNIPは、世界的な金融コングロマリットINGグループから分離・独立したNNグループの資産運用部門で、本拠地はハーグ。9月末の運用資産残高(AUM)は2440億ユーロ(約32.6兆円)。
インタビューは11月30日に東京で行った。概要は以下の通り。
──秋以降、海外勢の買いがけん引する格好で株高が進行している。日本株への投資状況は。
「日本はわれわれが選好するマーケットだ。大局的に見れば、世界経済がここ十数年で最も良い状態にあることは明らかだ。ユーロ圏と米国の消費者信頼感指数は2000年以来17年ぶりの高水準にあり、日本を含む大半の先進国で企業と消費者のマインドが上向いている。加えて、新興国経済でも拡大基調が強まっている。つまり、われわれは(リーマン危機後から)10年ぶりとなる世界同時的な、幅広い景気回復に直面している」
「こうした状況下で企業業績の見通しは良好で、当社では(来年の)世界の企業収益は、2桁(%)成長となった今年の数字をベースに、約10%の成長となると見込んでいる。このため、経済成長の恩恵を受けるアセットとして、株式を選好。特に景気敏感セクターに注目している」
──日本株は「世界の景気敏感株」とも呼ばれる。
「われわれは、日本と欧州、および新興国の一部の株式をオーバーウエート、米国と英国、そして豪州、香港といったアジアの先進国の一部についてはアンダーウエート(弱気)しているが、中でも日本を最も強気に置いている」
「日本については第2・四半期、正確には今年5月からやや強気にみていたが、当時は新興国を最も強気に置いていた。日本を最も強気に引き上げたのは、先の総選挙で安倍首相が大勝した後だ」
──確かに東証のデータを見ても、10月は海外投資家、とりわけ欧州勢の買い越しが目立った。
「われわれもその一部だった。投資判断引き上げのタイミングについては、投票日より前の、特に北朝鮮の挑発行動がエスカレートし始めて以降、安倍首相の勝利を予想していた。しかし、既にやや強気の投資判断をしていたため、既に始まりつつあった株高の恩恵をそれなりに享受できており、また(Brexitや米大統領選など)このところ世界の選挙で起きたサプライズの教訓もあり、実際の選挙結果を確認してから最も強気に引き上げる決断を下した」
「日本を選好する理由として、先に述べた世界同時成長や好調な設備投資需要のほか、日本の政権が他の先進国と比べて安定していること、また日本の金融政策が他の先進国より緩和的であることも挙げたい。安倍政権の継続は、日銀のリーダーシップの継続性と直接リンクするからだ」
「さらに、ここもとの株高を経ても、日本株のバリュエーションはまだ割高とは言えない。これらを総合すれば、日本は現時点で最も魅力のあるマーケットだと言えるだろう」
──外国人投資家の日本株買いの持続性は。
「グローバルの投資家は、過去の日本経済の回復局面が長続きしなかったことと日本株のボラティリティーの高さに失望した経験がある。上昇する時には大きく上がるが、下落時には急落することが多い」
「海外勢のマネーが日本株に流入し始めていると先ほど言ったが、グローバル投資家の間ではまだ日本に対する根強い不信感は拭えず、日本株はタクティカルな(戦術的、中期的)投資銘柄にとどまっている面がある。今後1─2年間に彼らが日本は本当に転機を迎えたと確信できれば、日本株にさらなるマネーが流入することも可能だろう」
──アベノミクスがスタートした2013年からの上昇相場では、円安・株高が同時進行し、為替感応度の高い輸出セクターが相場をけん引したが、今年は日本株の為替離れが顕著だ。
「われわれも、為替ヘッジの調整によりそれに対応している。当社の場合、為替は50%ヘッジするのが通常だが、アベノミクス相場の初期段階では、中央銀行レベルで円安を誘導する政策を実施しようとしているとの判断から、例外的に円を100%ヘッジして日本株を買った。為替のフルヘッジは当社では数年に1回程度しか行っていない。現在は、50%ヘッジに戻している」

インタビュアー:植竹知子 編集:石田仁志

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