米司法省、AT&T提訴なら大統領のCNN批判が悪影響も

米司法省、AT&T提訴なら大統領のCNN批判が悪影響も
 11月9日、米通信大手AT&Tによるタイム・ワーナー収を阻止するため米司法省がAT&Tを提訴する場合、トランプ大統領がタイム・ワーナー傘下のCNNを痛烈に批判してきたことが、司法省の主張の正当性に影響する可能性がある。写真はAT&Tのロゴ。コロラド州 で7月撮影(2017年 ロイター/Rick Wilking)
[ワシントン/ニューヨ-ク 9日 ロイター] - 米通信大手AT&Tによるタイム・ワーナー買収を阻止するため米司法省がAT&Tを提訴する場合、トランプ大統領がタイム・ワーナー傘下のCNNを痛烈に批判してきたことが、司法省の主張の正当性に影響する可能性がある。
司法省は、AT&Tがタイム・ワーナーを買収すればメディア市場で過大な力を持つことになり、消費者に悪影響が及ぶとしている。
ノースイースタン大学のジョン・クウォカ経済学教授は、「大統領の発言が状況を悪くした」とし、「私がAT&Tの弁護士なら、間違いなく大統領の発言を証拠記録として提示する」と述べた。
AT&Tは総額854億ドルのタイム・ワーナー買収に向け、反トラスト法上の懸念を解消する方法について司法省と協議してきたが、両者は合意に至っておらず、法廷に持ち込まれることが確実な状況となっている。
当局筋がロイターに明らかにしたところによると、司法省のスタッフはAT&Tに対し、傘下の衛星テレビ大手ディレクTVか、CNNなどを運営するタイム・ワーナー傘下ターナー・ブロードキャスティングの売却を提案したという。
AT&Tのスティーブンソン最高経営責任者(CEO)は9日、ニューヨーク・タイムズのイベントで、反トラスト法上の承認を得るためにCNNを売却することはないと言明し、政府と合意できなければ法廷で争う用意があると述べた。
また、本案件の承認過程でトランプ大統領が影響を及ぼすと考える理由はないと述べ、買収案の期限である2018年4月22日までに問題を解決することを望むとした。
関係筋によると、AT&Tは6日、司法省に対し、買収承認に必要な全ての法的義務を満たしたとの見解を伝えた。これによって、政府が買収阻止のためにAT&Tを提訴する期限が設定される。当局者によると、早ければ11月27日が期限となるもようだ。

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