ブログ:「国民の王」に最後の別れ、タイで葬儀の準備進む

ブログ:「国民の王」に最後の別れ、タイで葬儀の準備進む
 10月11日、タイでは、今月下旬に5日間にわたって盛大に営まれるプミポン前国王の葬儀の準備が大詰めを迎えている。写真は、国王の遺体を納めた壺を運ぶための黄金の馬車の前に立つ踊り子たち。バンコクで9月撮影(2017年 ロイター/Athit Perawongmetha)
[バンコク 11日 ロイター] - タイでは、今月下旬に5日間にわたって盛大に営まれるプミポン前国王の葬儀の準備が大詰めを迎えている。第2次世界大戦後、70年にわたり同国を発展に導いた前国王は、国民に深く敬愛されていた。
葬儀が行われるバンコクの王宮の周りでは、儀式の模様を良い場所から見ようと、喪服に身を包んだ大勢の国民が泊まり込むとみられている。警官7万8000人が警備する中で営まれる前国王の葬儀は、26日の火葬で最高潮を迎える。
「10月は悲しい時期だ。政治家や政党には、平和と秩序を求める」とプラユット暫定首相は10日、記者団に語った。また、来年11月に総選挙を実施すると発表した。
バンコク旧市街では、職人が10カ月がかりで、王族が死後に戻って暮らすと信じられている、ヒンズー教の世界観の軸となる黄金のメル山の上にある天国を模した、精巧な火葬場の制作に取り組んでいる。
在位70年に及び、昨年10月13日に88歳で死去したプミポン前国王の葬儀は、国内情勢に一部不安定さがみられるタイミングで行われる、と同国を拠点とするアナリストは語る。
「多くの面で国王はタイそのものであり、彼の死によってタイの心に大きな空白ができた」と、このアナリストは指摘し、ここ数十年に起きたタイの社会的、政治的変動を例に挙げた。王室に関わる話題は慎重を要するとして、このアナリストは名前の公表を拒否した。
「葬儀の後に何が起きるのか。タイは次にどこへ向かうのか。こうした深い問題に答えが必要だ」
前国王の死去を受けて、息子のワチラロンコン国王が即位し、財政も含めた全面的な王室改革に着手している。
プミポン前国王の葬儀は、古い伝統を踏まえつつ、過去に行われた歴代国王の葬儀よりも、国民が参加できる開かれた形で行われる、と王室専門家のTongthong Chandransu氏はいう。
「国民と王室の間には強い絆が築かれている。過去のどの時代よりも強い絆だ。この国王の葬儀には、より多くの国民が参加できる」と、Tongthong氏はロイターに語った。
葬儀のために復元された王室の道具の1つに、装飾が施された巨大な壺に収められた国王の遺体を火葬場に運ぶための黄金の馬車がある。
26日夜に行われる火葬の前に、この壺は王室の火葬場に運ばれる。この日は、国の休日に指定された。
1年に及んだ服喪期間の終わりに、3000人以上のパフォーマーが夜通し音楽や人形劇を演奏し、最後のはなむけとする。
国王の思い出に浸る国民は、葬儀のために紙の花を折り、その数はバンコクだけで1000万個に達したと、市当局は発表した。
「これは私たちにとって、(南アフリカの英雄ネルソン・)マンデラ氏や(元英皇太子妃)ダイアナ妃の葬儀のようなものだ」と、グラフィックデザイナーのApichai Klapiputさんはいう。
「タイ人がどれほどプミポン国王を敬愛していたか、世界は涙の川を見て知るだろう。彼は、国民の王だった」
(写真:Athit Perawongmetha 文責:Amy Sawitta Lefevre and Panu Wongcha-um)

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