物価目標達成、苦労しているが最善尽くしている=黒田日銀総裁

物価目標達成、苦労しているが最善尽くしている=黒田日銀総裁
 5月6日、日銀の黒田総裁(右)は、横浜市で開催中のアジア開発銀行(ADB)年次総会に合わせて開かれたパネルディスカッションに出席し、2%の物価目標達成について「苦労している(struggling)が、最善を尽くしている」と述べた。5日撮影(2017年 ロイター/Issei Kato)
[横浜 6日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は6日、横浜市で開催中のアジア開発銀行(ADB)年次総会に合わせて開かれたパネルディスカッションに出席し、2%の物価目標達成について「苦労している(struggling)が、最善を尽くしている」と述べた。司会を務めるフィナンシャル・タイムズのジリアン・テット氏への質問に応えた。
また、黒田総裁は「経済学の教科書によれば、為替安は輸出を増やすはずだが、日本は円安が進んでもあまり輸出が増えなかった」と指摘。「恐らく日本の自動車、電機メーカーが米、欧、アジアでの現地生産を進めており、現地での販売価格をあまり変えなかったからではないか」と語った。
黒田総裁は司会者の質問に答え、前職のADB総裁の仕事の方が「エクサイティングだった」とも述べるとともに、日銀総裁の業務は、思っていたより「複雑だった」と指摘した。
これに先立つスピーチでは、「1998年から(黒田総裁が就任し日銀が大規模金融緩和を打ち出した)2013年までの15年間のデフレにより、日本の(企業・家計の物価観である)インフレ期待を上げるのが難しくなった」と指摘し、「人々のインフレ期待を維持することが、いかに重要かというのが日本の教訓」と強調した。

竹本能文 編集:田巻一彦

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