トランプ米大統領、北朝鮮問題でアジア同盟国への協力要請を拡大

トランプ米大統領、北朝鮮問題でアジア同盟国への協力要請を拡大
 4月30日、北朝鮮による核・ミサイル開発の抑制に向け、トランプ米大統領がアジアの同盟国への協力要請を強めている。写真はホワイトハウスで27日撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)
[ワシントン 30日 ロイター] - 北朝鮮による核・ミサイル開発の抑制に向け、トランプ米大統領がアジアの同盟国への協力要請を強めている。ホワイトハウスによると、トランプ大統領は30日、タイとシンガポールの首相と個別に電話会談し、北朝鮮問題を協議、両首脳をワシントンに招いた。
トランプ大統領はフィリピンのドゥテルテ大統領とも29日夜に協議し、ホワイトハウスに招聘(しょうへい)。1週間前には日中首脳と北朝鮮問題を協議している。
プリーバス大統領首席補佐官は30日、ABCの番組で「万全の準備をするためには、アジア太平洋地域のできるだけ多くの国から一定の協力を得る必要がある」と語った。
首席補佐官は「仮に北朝鮮で何かが起きた場合、周辺地域のパートナーとともに行動計画を立てる必要が生じる可能性があり、全ての国から計画への支持を得られるようにしておくことが重要だ」と指摘。
各国首脳との協議は、アジア、そして最終的には米国における「核および大規模破壊の可能性」を踏まえて行われたと説明した。
プリーバス氏はさらに、トランプ大統領が安倍晋三首相や習近平国家主席と定期的に連絡を取っているとし、習氏とは「非常に親密」になったと述べた。
昨年の大統領選では通商問題を巡り中国を強く批判したトランプ氏だが、CBSテレビとの29日のインタビューでは、「貿易は非常に重要だ。しかし、数百万人の死者が出るかもしれない大規模戦争はさらに重要だ」と述べ、北朝鮮対応で中国の協力を得ることを通商問題に優先する考えを示した。
プリーバス首席補佐官もABCで「米国、そしてアジア太平洋地域が現在直面している問題で、北朝鮮情勢ほど大きな脅威はない」と語った。
マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)はフォックスニュースの番組で、北朝鮮が29日に実施したミサイル発射を受け、米政府として対応する必要があるかとの質問に対し、「なんらかの対応をとる必要がある」と答え、それは国連制裁を強化することかもしれないし、軍事行動に備えることかもしれないと述べた。
トランプ大統領と各国首脳との協議が、北朝鮮に対する即座の対応を米国が準備していることを意味しているかどうかは明らかでない。
コーネル法科大学院のジェンス・デビッド・オーリン教授は、北朝鮮に対する共同戦線を示すため最大限の連合を築いているのかもしれないと指摘する。
オバマ前政権で財務省の制裁担当者を務めたアダム・M・スミス氏は、トランプ大統領が資金力のある日本やシンガポールと協議し、フィリピンなど国連制裁の範囲を超える対応に消極的な国にも接触している点に言及。「中国だけに頼らず、連携網を広げることは大いに理にかなっている」とし、「多国間化の良いスタートだ」と述べた。
共和党のマケイン上院議員はCNNの番組で、トランプ氏が北朝鮮への先制攻撃を検討しているとは思わないと述べ、そうなれば同盟国の韓国が直ちに脅威にさらされると指摘した。その上で「しかし、選択肢を完全に排除するのは当然愚かだ。ただ、最後の究極の選択肢でなければならない」と語った。
*内容とカテゴリーを追加しました。

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