タイ経済は政治混乱収束でリセッション回避、先行き不透明

タイ経済は政治混乱収束でリセッション回避、先行き不透明
 8月22日、タイでは、軍事クーデターにより一時の政治混乱が収まり、国内経済は景気後退(リセッション)入りを回避。写真はバンコクの店頭に並ぶホンダ製バイク(2014年 ロイター/Athit Perawongmetha)
[バンコク 22日 ロイター] - タイでは、軍事クーデターにより一時の政治混乱が収まり、国内経済は景気後退(リセッション)入りを回避した。ただ、持続可能で広範囲におよぶ景気回復の兆候はまだほとんどみられない。
タイの第2・四半期国内総生産(GDP)は、前期比0.9%増となり、第1・四半期の1.9%減からプラス成長に転じた。
国家経済社会開発庁(NESDB)は、通年の成長率見通しを若干下方修正したが、消費者心理や企業の景況感改善、政情安定化を背景に、景気は年末までにV字回復するとし、上半期にマイナス0.1%だった成長率が下半期には4%に達するとの見通しを示した。
プラス成長に転じたものの、GDPの主要部分である建設や輸出、観光は依然低迷している。
第2・四半期の家計支出は0.2%増加したが、家計債務は高水準で、今後の大幅な回復は見込めないかもしれない。
7月の自動車販売は前年比30%減少した。自動車販売は政府の補助金制度の終了を受け、2013年半ばから減少を続けている。
鉱工業生産は低迷する輸出の影響を受け、第2・四半期の設備稼働率は59.5%と過去10四半期で最低水準を記録した。
GDPの約10%を占める観光業にも回復の兆しが見られない。6月に前年比24.4%落ち込んだ観光客の数は、7月にも11%減少し、マイナスが続いている。
野村証券のエコノミストは、GDP発表後のリポートで「詳細をみると、景気回復は広範囲にわたったものではなく質も低い」と指摘。個人消費の改善は、コメ買い取り制度下で農家へ一時的な支払いが行われたことが一因だ、との見方を示した。
JPモルガンのエコノミスト、ベンジャミン・シャティル氏は、タイ経済を楽観視しているとしながらも「軍事政権がインフラ整備計画をどの程度達成できるかが次のテストになる」との見方を示した。

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