コラム:日の目見るパキスタン株、新興国指数に復活へ
5月31日、何かと悪いニュースの多いパキスタンだが、株式市場には一筋の光明が差している。同国のカラチ証券取引所で2014年4月撮影(2016年 ロイター/Akhtar Soomro/File Photo)
Rahul Jacob
[香港 31日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 何かと悪いニュースの多いパキスタンだが、株式市場には一筋の光明が差している。株式指数提供会社MSCIは6月の年次見直しに伴い、同国を「フロンティア市場」から「新興国市場」に分類し直す可能性が高い。政治リスクを引き受ける覚悟のある投資家にとって、この国がさほど悪くない投資先であることをタイミング良く思い出させてくれそうだ。
パキスタンは2008年に新興国市場指数から除外された。同国の証券取引所が株価の下落に歯止めを掛けるため価格フロアを導入するとともに、取引が5カ月にわたり事実上中止されたからだ。カラチSE100種株価指数の時価総額は600億ドルで、新興国市場指数に復活するとしても組み入れ比率はわずか0.19%にとどまるだろう。
パキスタン経済は最近、朗報が続いている。世界銀行は同国の経済成長率が6月までの1年間で4.5%に達すると予想。石油安のおかげで財政赤字の対国内総生産(GDP)比率は2013年の8.2%から5.3%まで縮小した。国際通貨基金(IMF)による期間3年、67億ドル相当の支援プログラムも9月には終了する。
地元証券トップライン・セキュリティーズの推計では、より幅広い機関投資家が参考にする新興国市場指数に加われば、パキスタンには正味4億ドルの資金が流入しそうだ。MSCIが2013年にカタールとアラブ首長国連合(UAE)の分類引き上げを発表した後、両国の株価は11カ月間でそれぞれ38%と84%も上昇した。
政治上の内紛やテロリスト関連の暴力に目をつぶれる投資家にとって、パキスタンは掘り出し物かもしれない。インドや南アフリカなど他の新興国では、予想利益に基づく株価収益率(PER)が18倍前後で推移している。カラチの株価指数は今年に入って10%超上昇したが、それでもPERはまだ9.9倍だ。資産価格がインフレを起こしている今、これならお買い得だろう。
●背景となるニュース
*MSCIは6月、パキスタンをフロンティア市場から新興国市場に分類し直すかどうかを決定する。
*パキスタン証券取引所のマネジングディレクター、ナディーム・ナクビ氏は23日、ロイターのインタビューで、2017、18年の2年間に電力セクターで10億ドル相当の新規株式公開(IPO)が実施されるとの見通しを示した。
*カラチSE100種株価指数は年初から10.4%上昇した。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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