日銀追加緩和、まず現在の効果の慎重な見極め重要=全銀協会長

日銀追加緩和、まず現在の効果の慎重な見極め重要=全銀協会長
 5月18日、全国銀行協会の国部毅会長は、「金融政策の効果が実体経済に及ぶまでには、相応のタイムラグがある」としたうえで、日銀の追加緩和について慎重な対応を求めた。都内で18日撮影(2016年 ロイター/Thomas Peter)
[東京 19日 ロイター] - 全国銀行協会の国部毅会長(三井住友銀行頭取)は19日の記者会見で、「金融政策の効果が実体経済に及ぶまでには、相応のタイムラグがある」としたうえで、日銀の追加緩和については「まず、現在の緩和効果を慎重に見極めることが重要」との見方を示した。
2017年4月に予定されている消費税率の10%への引き上げについては、個人的な見解としたうえで、予定通り実施すべきだと述べた。
国部会長は、自身が頭取を務める三井住友銀において貸出は増加傾向にあるものの「前向きな資金需要が本格的に高まって、これまでのトレンドを超える大幅な増加が見込まれる状況にはなっていない」と指摘。個人の顧客が「貯蓄から投資」への流れを本格化させるのもこれからだと述べ、日銀にマイナス金利政策の効果を慎重に見極めるよう求めた。
16年度の3メガバンクグループの業績見通しについて、国部会長は「マイナス金利政策が1年間フルで効いてくることもあり、各グループとも厳しい業績予想になっている」と言及。貸出金利ざやの縮小などによる資金利益の減少を、手数料ビジネスなどの非金利収益でカバーすることがより重要との見方を示した。
消費税率の引き上げについては、持続可能な社会保障制度構築のための安定財源の確保、財政に対する信認確保の観点から「日本経済に重大な事態が生じない限り、消費税率の引き上げは予定通り実施すべきだ」と改めて述べた。現時点で、引き上げを延長すべき重大な事態は生じていないと指摘した。

和田崇彦

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab