外債は米利上げにらんで積み増し、対象国と事業債拡大=住友生命計画

[東京 22日 ロイター] - 住友生命保険は22日、2016年度の資産運用計画で、外国債券は米国の利上げタイミングをにらみながら積み増す方針を示した。国内低金利の環境を踏まえた資産運用高度化の取り組みとして、外債投資の拡大・多様化の流れを継続する。
松本巌執行役員兼運用企画部長は、国内低金利下において外債投資は「まだ積み上げ余地がある」と述べた。満期を迎える日本国債の再投資は、ほとんどヘッジ付き外債に振り向ける考え。
引き続き米国・欧州・豪州の中心国以外の周辺国へと対象国を増やすほか、投資年限の長期化を図る。事業債への投資も拡大する。海外クレジット資産を積み上げて収益向上を図る。
2015年度は外国証券の簿価が1兆円増(うち公社債9800億円)となった。通貨別構成比は、米ドルが50%、豪ドルが30%、ユーロが20%程度だった。
海外社債ポートフォリオを年間数1000億円単位で段階的に拡大する方針で、海外社債投資などの人員を増員する。投資信託への投資で外部運用機関のノウハウ活用も進める。
米金利は、景気失速懸念が後退し、緩やかに上昇すると想定している。利上げは年1─2回程度を見込むが、外部環境を警戒する米連邦準備理事会(FRB)の慎重姿勢を踏まえ、ドル高やグローバル景気の鈍化、原油価格低迷長期化による世界的な金融緩和圧力が意識されるとして、金利上昇幅は限定的とみている。
ドル/円は、米国が緩やかながら利上げする一方、日銀は利下げなど追加緩和を進めることから、日米金利差拡大に連れて緩やかに上昇するとみている。円高が進んだ局面では、オープン外債への投資を実行するとしている。
<国内低金利で超長期債抑制、クレジット資産拡大>
国内債券は微減を見込む。日銀の長期国債買い入れオペとマイナス金利導入による金利下押し圧力は強いとして、金利は当面低位で推移するとみており、超長期債への投資を抑制し、クレジット資産を拡大する。公社債の簿価は15年度に1900億円増加した。
国内株式は横ばいを計画。保有銘柄を入れ替えで収益力の向上を図る。大幅な株価下落リスクが高まれば、ヘッジなどを検討するという。外国株式は、慎重なスタンスを継続し横ばいとする。成長分野への投融資に積極的に取り組む方針という。
<ポートフォリオの2区分化で運用高度化>
運用高度化として、ポートフォリオを2つに区分し、リスクコントロールの強化と収益向上を進める。保険金などの確実な支払いに備えた円金利資産中心のポートフォリオを約8割、企業価値の持続的向上に向けたリスク性資産中心のポートフォリオを約2割とする。
リスク性資産の運用では、為替ヘッジ付き外債やオープン外債、株式などに許容リスクの範囲で分散投資し、機動的なポジション変更を図る方針だとしている。
今年度の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。
日本国債10年物利回り -0.40─0.30%(年度末-0.20%)
米10年債利回り    1.40─2.60%(同2.10%)
日経平均        1万3500─2万円(同1万7500円)
ドル/円        100─125円(同118円)
ユーロ/円       105─140円(同127円)
*内容を追加します。

平田紀之

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