3月24日、第35回バンコクモーターショーがバンコク郊外のインパクト・ムアントンタン(IMPACT Muang Thong Than)で開幕。
プレスデーに先立つ初日はVIPデーとなっているが、会場では主催のGPI(グランプリ・インターナショナル社)でモーターショー事務局長を務めるジャトロン・ゴモンミット氏が報道陣のインタビューに応じてくれた。
◆デモの影響は軽微
バンコクでは反タクシン派によるデモが4ヶ月続き、その混乱でタイ経済にも影響が出ている。騒動は終息したばかりだが、モーターショーへの影響はあるのだろうか?
「4ヶ月間もの騒ぎで、皆ストレスが溜まっていることでしょう。モーターショーでは綺麗なクルマ、綺麗なパフォーマンス、それに綺麗な女性を見てリラックスしてほしい。そうした場となるはずなので、前回と同じくらいの170万人の来場者を見込んでいます。また昨年は会期中に5万4000台の成約がありましたが、今回もそれに近い数字となるのではないでしょうか」
昨年、一昨年はエコカー制度の後押しもあってショー期間中の販売台数が大幅に増えていたが、エコカーを差し引いた台数でも以前より増加しているのだとか。これはタイ経済が上向きで持続していることの証明だとして、今回も堅調だとみているようだ。
ちなみに昨年の会期中にもっとも成約数が多かったのはトヨタで1万341台、ベンツやBMWなどの高級車も1700台以上を販売している。バンコクショーは「見る」だけのイベントではないのだ。
◆出展者の顔ぶれは多様化
今回はアストンマーチンやスバルなどが初めて出展しているほか、日本のベンチャー企業、FOMMなどもブースを構えている。今後はEVの出展が増えることもあるのだろうか。
「タイの人々は、まだEVを体験する機会がありません。まだ急速充電ステーション等のインフラ整備が進んでいないのです。数年前からハイブリッド車が売れてはいますが、純粋なEVは2~3年先あたりから市場ができてゆくことになるでしょう」
既存のEVは家庭用コンセントのみでの充電。ただしタイの家庭用電源は220Vだから、日本よりは充電時間が短く済む利点はある。インフラ整備しだいで普及の可能性は高まるはずだ。
また前回は中国から長城汽車が出展し、今回はMGブランドで上海汽車がブースを展開。中国メーカーの存在感は今後大きくなってゆくのだろうか。
「上海汽車はタイのコングロマリット、CPグループと合弁会社を設立して、タイでMGを生産、販売しようとしています。ただMGはイギリスのブランドですからね。中国のブランドが存在感を示すようになるのは、もう少し先のことになるでしょう」
オートバイ市場も成長続く
エコカー制度で若い年齢層のクルマユーザーが増えたが、それによってモーターサイクル市場は影響を受けたのだろうか。
「スクーターや小型モデルの市場は順調に成長を続けています。大きな変化を見せているのは大型モーターサイクル。この市場はおよそ15パーセントの成長を見せています」
つまり自動車にシェアを奪われているという事実はなく、モーターサイクル市場も成長を続けているわけだ。
「ドゥカティがタイ生産を始めてリーズナブルになり、これを受けて他のメーカーも大型モデルの販売に力を入れるようになってきました。もともとタイではこうした車種を生産し、輸出する拠点になっているということも影響しているのかもしれませんね」