日本発超小型EV、「タイ国民車」目指し来秋にも現地生産・販売

日本発超小型EV、「タイ国民車」目指し来秋にも現地生産・販売
 2月9日、小型の電気自動車(EV)開発ベンチャー、FOMM(フォム、神奈川県川崎市)は「タイの国民車」を目指し、タイで超小型EV(写真)の販売を計画している。(2016年 ロイター/Maki Shiraki)
[東京 9日 ロイター] - 小型の電気自動車(EV)開発ベンチャー、FOMM(フォム、神奈川県川崎市)は「タイの国民車」を目指し、タイで超小型EVの販売を計画している。
同社の鶴巻日出夫社長はロイターに対し、現地で生産するための合弁パートナーを「2―3社に絞り込み、3月末までに合意する」との見通しを明らかにした。来秋にも生産・販売を始めたい考え。
同社が開発したのは全長約2.5メートル、全幅約1.3メートル、全高約1.6メートルのEVで、4人乗り。飛行機の操縦かんのようなハンドルを採用し、アクセル操作も手で行う。着脱可能なカセット式バッテリーを搭載し、最大航続距離は150キロ。水害など緊急時には水に浮き、水上を移動できるのが特徴だ。
17年9月に現地で量産を始め、同年10月から販売を開始する予定。販売価格は30万バーツ(約100万円)以下に設定する。最高速度は85キロ。開発の仕上げと生産に向けて15億円前後の資金調達を目指す。
鶴巻社長は「日本では若者の車離れが進んでいるが、タイの若者は車に乗りたいという気持ちが強い」といい、20代の若者を中心に販売拡大を狙う。18年1月までには約1万台(輸出も含む)の販売を計画する。
同社長によると、タイ政府から開発への補助金を受ける見通しで、「同国のプラユット首相は雇用や経済活性化の観点から現地での生産を歓迎しており、アセアンの中でタイをEVのハブにしたいという考えがある」という。
量産化の最大の課題は「コストを下げること」。現在はモーターやフレームを日本企業に生産委託しているため、製造コストの半分は日本製だが、今後はタイ製比率を高め、コストを削減する計画だ。
小型EVは、タイに続いて、インドネシアとマレーシアに展開する予定で、すでに引き合いがあるという。同社のEVは、もともと欧州の規格をベースに開発しており、欧州への輸出も視野に入れている。
同社長はまた、「最近は中国企業2、3社が声をかけてくれている。市場が大きく、EVに力を入れている中国で、現地企業に技術提携して進出できたらいい」と話す。
また、上場の予定については「販売から1年後を目標に東証マザーズに上場したい」との希望を語った。

白木真紀 編集:北松克朗

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