タイ政情不安による株・通貨安、投資家は長期化予想せず

[シンガポール 2日 ロイター] - 1カ月におよぶタイの反政府デモにより通貨バーツや株式相場は圧迫されているが、投資家の間では、デモによる為替や株への影響が長期化するとの見方は少ない。
11月初旬からタイバーツ はドルに対して3%下落、主要株価指数 もここ1カ月で6%下落した。
ただ、海外投資家が11月以降にタイ株式市場から引き揚げた資金は、年初からの総額48億ドルに対し、15億ドルにとどまっている。債券市場からの資金流出ペースはこれよりもさらに緩やかだ。
BNPパリバ(シンガポール)の為替・金利リサーチ部門代表、Mirza Baig氏は「タイ資産への売りはさほど見られず、大規模な資金流出はない。市場への短期的な影響を懸念しているときの典型的な投資家行動である為替ヘッジは行われている」との見方を示した。
バーツは2日、一時12週間ぶりの安値をつけた。これを受け、中央銀行はバーツ相場安定に向け介入を行ったもよう。また、インラック首相がデモ隊に対して武力行使に出ない姿勢示したことから、バーツは下げ渋った。
一時1.1%安となった株価はやや持ち直し、0856GMT(日本時間午後5時56分)時点で0.38%安。
将来の為替相場の変動を予測する指数、インプライド・ボラティリティ1カ月物は6%に上昇したが、米緩和策の縮小に対する懸念からアジア各国通貨が売られた5─9月の局面に記録した6.5%は依然下回っている。
タイでは過去数十年間に幾度か軍事クーデターが起こり、憲法が改正されたことから、投資家は短期的な政局不安には備えができているとアナリストはみている。HSBCの株式ストラテジスト、Devendra Joshi氏は「先行き不透明感を理由とした下げは既に織り込み済みだ」と語った。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab