タイ政府が打ち出した総額3500億バーツ(約1兆1235億円)の洪水対策計画の是非をめぐり、同国で論争となっている。計画の実施を急ぐ政府に対して、事前調査などが不足しているとして反対の声があがり、対立が深刻化した。現地紙ネーションなどが報じた。
同国では2011年に50年に1度ともされる大洪水が発生。チャオプラヤ川が氾濫して関東平野とほぼ同じ1万8300平方キロメートルの農地で浸水被害が生じた。首都バンコクや周辺の工業団地も被害を受け、世界銀行によると、事業機会の損失を含めた被害総額は1兆4000億バーツに達したとみられる。
日系449社をはじめ800社以上の企業が被害を受けた事態を重くみたタイ政府は、洪水対策の計画策定に着手。翌年、貯水池の整備や防水壁の設置、川底の土砂を取り除いて水深を深くする浚渫(しゅんせつ)工事など、8分野で総額3500億バーツを投じる内容の洪水対策計画を発表した。