外債3000億円を積み増しへ、米利上げ時期にらみ=住友生命運用計画

外債3000億円を積み増しへ、米利上げ時期にらみ=住友生命運用計画
 10月20日、住友生命は2015年度下期の一般勘定の運用方針で、3000億円の外債購入を計画していると明らかにした。東京本社、2009年撮影(2015年 ロイター)
[東京 20日 ロイター] - 住友生命保険は20日、2015年度下期の一般勘定の運用方針で、3000億円の外債購入を計画していることを明らかにした。米国の利上げのタイミングをにらみながら進める。低金利下では、一部の商品を除いて国内債券への投資を見送る方針としており、投資の多様化を進める。
外債投資はヘッジ付きを基本とし、円高局面ではオープン外債への投資も機動的に実行する考えだとしている。上期は5000億円程度の外債を購入し、4200億円の純増となった。下期は外債3000億円程度の購入を予定し、2000億円台の純増になる見込みだという。
中心となるのは米債の見込み。同社では、米国の利上げは年内には開始されないと見るが、来年3月にかけては実施されると見通している。同社の運用企画部長、松本巌氏は「インフレは緩やかな上昇となり、利上げペースは緩やかになると考えている」との見方を示した。下期の米10年債利回りは1.60─2.80%のレンジを想定しており、年度末は2.30%での着地を見通す。先行き、利上げを織り込む中で金利上昇を想定するが、緩やかな利上げペースの予想に基づき、上昇幅も限定的と予想している。
為替相場については、市場が落ち着けば日米の金融政策の格差に基づいてドル/円は円安基調を取り戻すと見ている。
一方、国内金利は、足元で日銀の国債買い入れ継続に加え、追加緩和観測もくすぶっており、当面、低位で推移すると想定する。国内金利が低水準にある場合は、一部の商品を除き国内債券への投資を見送る方針だとしているが、金利上昇局面では超長期債への投資をし、ALM(資産と負債の総合的な管理)を推進する考え。
15年度下期の国内10年債利回りの想定レンジは0.20─0.60%、年度末は0.40%の着地とみる。年度末にかけて原油安の影響が和らぎ、インフレ率は1%弱へと上昇すると想定している。
年度末の金利見通しは、期初に見込んだ0.50%からの下方修正になる。松本氏は「中国など新興国経済の減速や米利上げの遅れを踏まえた」と、見通し修正の背景を説明した。
同様の理由で、国内株式の年度末の予想も1万9700円に下方修正した(期初時点の予想は2万0500円)。簿価残高を維持しながら、保有銘柄を入れ替えて株式ポートフォリオの収益力向上を図る方針。足元の相場は、景況感や中国経済減速への警戒感から下値を試す展開になっていると見るが「企業の増益基調を確認すれば、しっかりしてくる」(松本氏)と予想している。
外国株式には慎重なスタンスを継続し、残高は横ばいを見込んでいる。
融資では、引き続き成長分野への融資を積極的に取り組む方針だが、償還によって残高は減少する見込みだとした。
日本国債10年物利回り  0.20─0.60%(年度末0.40%)
米10年債利回り     1.60─2.80%(同2.30%)
日経平均         15600─21800円(同19700円)
米ダウ          15000─18500ドル(同17500ドル)
ドル/円         115─130円(同124円)
ユーロ/円        125─145円(同133円)

平田紀之

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