トヨタ、タイの現地生産を年間100万台レベルに拡大へ=豊田社長

トヨタ、タイの現地生産を年間100万台レベルに拡大へ=豊田社長
11月8日、トヨタ自動車の豊田章男社長は、タイの現地生産について「近い将来、年間100万台レベルまで引き上げていきたい」との考えを明らかにした。写真は同社のロゴマーク。ブリュッセルで10月撮影(2012年 ロイター/Francois Lenoir)
[バンコク 8日 ロイター] トヨタ自動車<7203.T>の豊田章男社長は8日、タイの現地生産について「近い将来、年間100万台レベルまで引き上げていきたい」との考えを明らかにした。現行の生産能力67万台を2013年半ばまでに76万台に高める計画を公表済みだが、さらなる生産拡大で旺盛な国内需要に対応するとともに、輸出拠点としての機能を強化する。
1国あたりの生産規模としては日本、米国に次ぐ大きさとなる。バンコク市内で行ったタイ現地法人の50周年記念式典で語った。
同社長はまた、タイを含む世界市場向けに新型小型車を開発していることを明らかにした。タイ政府が定める「エコカー」となる見通しで、「来年には新コンパクトカーの生産をタイで開始し、現地での販売に加え、グローバルに供給する予定」という。
タイ政府は、ガソリン車については「排気量1300cc以下」「燃料1リットル当たりの走行距離が20キロメートル以上」などの要件を満たす小型車を「エコカー」とし、07年から税制面で優遇してきた。その効果もあり、タイの自動車販売に占める小型乗用車比率は2011年に23.1%と、2000年の9.3%から大幅に拡大した。トヨタは新商品の投入により、タイをはじめとする東南アジア地域などでプレゼンスの強化を狙う。
同社はタイにサムロン工場(年間生産能力23万台)、ゲートウェイ工場(同22万台)、バンポ―工場(同22万台)の3つの工場をもつ。国内外で販売が好調なため、残業や土曜出勤などを増やして対応しており、12年は平時の生産能力を大きく上回る88万台の生産を計画しているが、需要拡大に見合う供給体制の確立が課題となっている。
<賃金上昇問題が浮上>
タイの国内自動車市場でトヨタのシェアは首位の38.1%(12年1─9月)。新興国向け世界戦略車「IMV」シリーズの輸出基地としても活用しており、タイは世界の中核的な生産拠点のひとつとなっている。ただ、自動車産業の集積に伴い、賃金上昇や人手不足などの問題も浮上しつつある。
タイでは今年4月から一部の県で最低賃金が引き上げられ、企業の労務費増加につながっている。デンソー<6902.T>のタイ現地法人、デンソータイランドのバンパコン工場では、期間工の1日あたり賃金が従来の200バーツ前後から300バーツに引き上げられるなど「人件費の上昇が大きな経営課題となっている」(デンソータイランドの朝岡龍治副社長)。インドネシアやインドなどを含め、アジア全体でどのように役割を分担するかについても経営判断が必要になる。
(ロイターニュース 杉山健太郎;編集 大林優香)

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