市場と駅が合体したマハーチャイ駅は、タイ国鉄マハーチャイ線の終点駅であり、同じくタイ国鉄が運営するメークローン線への、れっきとした“乗り換え駅”だ。それなのにメークローン線へ乗り継ぐには、うだるような暑さのなか5分ほど歩いて船着き場へ行き、3バーツ払って渡し船に6分乗り、ターチン川を渡ってまた7分も歩かなければならない。
駅前のごった返した屋台街を抜け、汗をふきふき港を目指す。対岸はすぐそこで、流れは速くなく、なんだか泳いで渡れるような気もするが、藻が固まりで浮いていて水が汚く、まったく入る気になれない。
ようやくたどり着いたのは、メークローン線が出発するバーンレム駅。2両編成の列車は、すでに入線している。ホームには、出発を待つ乗客の姿もちらほら。券売窓口では、いままさに乗車券を購入している地元の人もいる。じつは、メークローン線といえば観光客に人気の列車のはずなのに、これまでひとりも旅行者の姿を見かけなかったから、少々不安だったのだ。余談だが、あとでわかったことだが、ツーリストの多くは、わざわざバンコクのはずれから暑苦しい鉄道に乗ったりせず、市内の中心部からエアコンの効いた直通バスを利用して快適に移動するらしい。