国際情勢分析

「究極のブラックビジネス」奴隷労働…揺れるタイで厳罰化法案可決も

 タイは奴隷労働問題で揺れている。現地紙バンコク・ポストなどによると、先月AP通信が奴隷労働で採取された漁業資源がタイを経由して世界市場に流通している可能性があると報道したことを受け、大手水産業者が納入業者との契約を解除した。暫定議会も厳罰化を含めた関連法の改正を可決するなど奴隷労働に関心が集まっている。(フジサンケイビジネスアイ

 AP通信によると、奴隷労働に従事させられていたのはミャンマー人などで、タイ経由でインドネシアに送られ、漁船での労働を強要されていた。漁船で採取された漁業資源がタイ国内の水産業者に送られ、欧米をはじめ世界市場に流通しているもようだ。こうした業者のなかにタイ・ユニオン・フローズン・プロダクツ(TUF)の納入業者、タイ・ユニオン・マニュファクチュアリングが含まれていたという。

 TUFはタイの水産最大手で、売り上げ目標を今年は50億ドル(約6013億円)、2020年には80億ドル突破としている。取引先は小売り世界最大手の米ウォルマートをはじめ、米大手クローガーなどがある。近年は企業買収による国外進出も盛んで、昨年は欧州の水産2社を35億バーツ(約130億円)で買収したほか、米バンブルビー・フーズを今年後半に15億ドルで買収する交渉がまとまり、米当局の承認待ちとなっていた。

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