東南アジア株式=大半で下落、世界経済成長めぐる懸念で

 [27日 ロイター]  週明け27日の東南アジア株式市場の株価は、原油価格の上昇を受け、世界経済成長をめぐる懸念が広がったことから、大半の市場で下落した。これらの懸念が、東南アジアの新興市場に対する投資心理を圧迫した。
 経済成長への懸念で、慎重な投資家らが慎重姿勢を維持する中、出来高はやや少なめの水準。投資家の一部は、さらなる手掛かり材料を求め、欧州中央銀行(ECB)が29日に行う3年物資金供給オペに着目している。
 アジアの各市場の株価は大半が値下がりし、1000GMT時点でMSCIアジア太平洋株指数(日本除く)<.MIAPJ0000PUS>は1.3%安、MSCI東南アジア株指数<.MISU00000PUS>は1.4%安。
 ジャカルタ市場での海外勢の売越額は5430万ドル。一方、バンコク市場には2030万ドル、クアラルンプール市場には5117万リンギ(1670万ドル)の資金流入がみられた。
 イランの核開発問題をめぐり情勢が緊迫化する中、原油相場はこの日、供給逼迫(ひっぱく)懸念が広がり10カ月ぶり高値近辺での値動きとなった。一方で、原油価格の上昇を受け、工業用金属の需要見通しが悪化し、銅先物相場が押し下げられた。
 シプタダナ証券(ジャカルタ)のディレクター、ジョン・テジャ氏は「原油相場の高騰により、製造業の利益率が圧迫され、企業利益に悪影響が出るだろう」との見方を示した。
 マニラ市場<.PSI>は1.9%安となり、2月16日以来の安値水準に下落。シンガポール市場<.FTSTI>は1.1%下落し、3週間ぶり安値となった。バンコク市場<.SETI>も1%安となり、2月17日以来の安値水準に下落。ジャカルタ市場<.JKSE>では0.9%安と約2カ月ぶり安値となった。
 バンコク市場では、エネルギー及び金融関連銘柄が下げを主導した。タイ石油会社(PTT)は1.4%、PTTエクスプロレーション・アンド・プロダクション(PTTEP)は2.2%それぞれ値下がりした。
 今週シンガポール市場では、同市場に上場している香港の資源・商品商社ノーブル・グループに加え、政府系複合企業セムコープ・インダストリーズなど大企業数社で決算が発表される。トレーダーらによると、27日は上向きな材料に乏しかったことから、一部の投資家がこれら決算発表を前に利益確定売りを行ったという。
 エンジニアリング・建設会社UE・E&Cは逆行高となり、17.8%急伸、上場来高値を記録した。2011年通期純利益が前年の2倍以上となったほか、高水準の配当を発表したことが好感された。

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