東南アジア株式=総じて下落、欧州格下げ懸念が圧迫
ロイター編集
[13日 ロイター] 13日の東南アジア株式市場の株価は、大半の市場が下落した。欧州諸国の信用格付けが引き下げられれば、金融市場や減速しつつある世界経済に新たな打撃になると懸念されたことが背景。
格付け大手フィッチ・レーティングスが12日、先週の欧州連合(EU)首脳会議が債務危機への包括的解決策を導き出せず、ユーロ圏諸国の格下げ圧力が短期的に高まっていると警告したことで、EU首脳会議が財政規律の強化で合意したことへの楽観が急速に消滅した。
OCBCインベストメント・リサーチのアナリスト、ケアリー・ウォン氏は「欧州ではいかなる短期的解決策、少なくとも市場を満足させられる案は見当たらない。彼らが直近で合意した内容は非常に大まかなもので、詳細が一切なかった」と指摘。「問題は細部だ。彼らはどのように遂行するのだろうか」と述べた。
ジャカルタ市場の総合株価指数<.JKSE>は0.75%安、シンガポール市場のストレーツ・タイムズ指数(STI)<.FTSTI>が0.59%安、バンコク市場のSET指数<.SETI>は0.33%安、クアラルンプール市場のクアラルンプール総合株価指数(KLCI)<.KLSE>は0.12%安、ベトナムのホーチミン市場のVN指数<.VNI>は0.95%安。マニラ市場<.PSI>だけが6市場で上昇し、0.15%高。
ジャカルタ市場とホーチミン市場を除く4市場は、出来高が30日平均を下回った。市場の不透明感が続いていることや年末の到来で、投資家が様子見姿勢を維持した。
ジャカルタ市場は海外勢の売越額が8730万ドルと、11月10日以来の高水準。マニラ市場は20万ドルの売り越し。一方、クアラルンプール市場は360万ドル分の買い越しだった。
シンガポール市場では、OCBC(華僑銀行)が1.3%安、農産品専門商社オラム・インターナショナルは0.9%安、不動産開発大手キャピタランドの商業施設運営子会社キャピタモールズ・アジアは2%安。
公共交通大手SMRTは株価全般に逆行し、1.1%高。タクシー運営最大手のコンフォートデルグロの最近の運賃値上げで、電車やバス利用に切り替える通勤者が増えるとアナリストらはみる。
ジャカルタ市場では金融株が下落を主導。セントラル・アジア銀行(BCA)は1.9%安、国営ラクヤット・インドネシア銀行(BRI)が2.2%安。
クアラルンプール市場では、カジノ経営などを手掛けるゲンティンと金融大手CIMBグループ・ホールディングスがともに1.5%超下げ、株価全般の下落を主導した。
一方マニラ市場では不動産株が上昇を主導し、SMプライム・ホールディングスが2.6%高。同社は先週、2012年の資本支出を賄うため、第1・四半期にシンジケート・ローンで最大70億ペソ(約1億6200万ドル)を調達する方針を明らかにした。
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