日タイ首脳会談 テロ対策の強化で一致へ 高速鉄道網整備での協力促進も

 安倍晋三首相は9日夜、タイのプラユット暫定首相と首相官邸で会談し、日本人2人を殺害したイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」を断固として非難し、テロ対策の強化で連携する方針を確認した。タイの高速鉄道網整備など経済分野での協力促進も確認した。

 会談後に発表した報道向けの共同声明でも「イスラム国」を強く非難。テロに屈せず連帯して対処し、国際社会の平和と安全の維持に努力すると明記した。

 会談では、タイ政府が協力するミャンマー南部の「ダウェイ経済特区」開発に関し、日本との連携を継続することで合意した。ダウェイはタイの首都バンコクの西に位置する港湾隣接型の経済特区で、東アジアとインド洋の中間に位置する物流の要衝。日本政府は技術や資金の供与を通じ、同地域での存在感を高める狙いがある。

 また、安倍首相は今年が戦後70年に当たることを踏まえ、自身が掲げる「積極的平和主義」について説明し、プラユット氏は支持を表明した。中国が海洋進出を強める南シナ海での連携や防衛交流の推進、国連安全保障理事会改革に向けた協力強化も確認された。

 安倍首相は、東京電力福島第1原発事故を受けた食品輸入規制の撤廃も働き掛けた。

 タイでは昨年5月、軍のクーデターにより現暫定政権が誕生したことから、両首脳はタイの早期の民政復帰を目指すことを確認。安倍首相は共同記者発表で「タイの国民和解と民政復帰が一日も早く成し遂げられることを強く期待している」と述べた。

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