気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2011年10月12日付
●TPP「来月結論」に賛否、政府・民主調整入り(読売・3面)
●タイ洪水、日本企業にも打撃、浸水で生産休止に(読売・8面)
●中古車レンタル、100円=10分気に入れば購入(読売・15面)
●欧州危機回避へ正念場(朝日・2面)
●米テスラEV向け電池、パナソニックほぼ独占(朝日・8面)
●ベトナムから二輪車輸出、ホンダ、来年から新興国へ(産経・10面)
●ドライブおすすめ配信、季節・休日・渋滞イライラも、豊田通商など新事業(東京・7面)
●「トヨタ自動車東日本」に決定、グループ3社統合(東京・7面)
●中国で車用ガラス生産、セントラル硝子、仏社と合弁(日経・11面)
●摩耗しにくい植物由来プラスチック、トヨタ、内装品に(日経・13面)
ひとくちコメント
きょうの各紙が掲載しているタイにあるホンダの工場の空撮写真は、まるで水田の中に工場が建っているような悲惨な状況のようだ。過去数10年間で最大規模といわれているタイの洪水被害が、トヨタやホンダなど日系の自動車の生産拠点まで甚大な打撃を与え始めたという。
アユタヤ県にあるホンダは自社工場が浸水し、操業停止に追い込まれているほか、トヨタ自動車も、サムロン、バンポー、ゲートウェイの3工場の操業を全面停止。いすゞ自動車も16日までの生産ラインの休止を決めたという。三菱自動車は、部品会社の一部で操業を休止しているが、12日生産分までの部品は確保、13日以降の操業については部品調達の状況を見極めながら決定するという。
先週末までの報道は小さな扱いだったが、きょうは日経が1面準トップで報じたのをはじめ、各紙が経済面で「タイ洪水、日系工場直撃」(朝日)などと、大きく取り上げている。洪水の被害は自動車ばかりではなく、キヤノン、TDK、ヤクルト、昭和電工など日系企業200社に及んでいるという。
筆者の知人の現地駐在員の話によると、「依然断続的に雨が降っており、アユタヤ上流の3つのダムの放流に加え、現在ベトナムの東にある低気圧が接近しつつあり、14日頃にかけてタイ東部・中部にまとまった降雨が予想されているほか、フィリピン東南に次の大型の低気圧が待ち受けている」という。日経は「被害はさらに拡大しており、日系各社の操業停止は長期化する恐れが強まっている」(日経)とも伝えている。
記録的な円高などから、タイを重要な生産・輸出拠点と位置付ける自動車メーカーも多く、震災後の生産の遅れをタイ工場などでの増産に期待を寄せている。一難去ってまた一難。異常気象による自然災害とはいえ、その矢先の洪水の被害で水を差された格好だ。