バンコクの街を歩いていると、日本語の看板がやたらと目につく。あまりに多いため次第に外国にいる実感が薄れ、最終的に沖縄くらいにしか思えなくなってくるところがバンコクの魅力だ。日本食のレベルも高く、もはや「ほぼ日本」と言っていいだろう。

しかしそんな中にあってもなお、ビックリしちゃうくらい “強烈な日本感” を放つ店がある。道頓堀から店ごと船で運んできたかのごときその風貌……「さすがにやりすぎ」と言うほかないが、日本人なら誰もが吸い寄せられるように入店してしまうだろう。

・大衆おっさんパラダイス

その店は日本人が多く住むエリアを中心に、バンコクに数店舗が営業している。今回訪れたのはBTSプロンポン駅からほど近い店舗。ネオン輝く店の名は……


『元祖串かつ 恵美須商店』


「大衆おっさんパラダイス」とデッカく書かれた看板。ピカピカ輝くネオンが見事なまでに “おっさんパラダイス感” を演出しておる。

店頭にはビリケンさんのお姿も! 繰り返すがここは紛れもないバンコクだ。ビリケンさんに手を合わせ、恐る恐る店内へ……

パンパンの大入り満席である!!!


・コメント不可能

幸運にも少し待ったのち着席することができた私。1人ぼっちで居酒屋なんて恥ずかしい……と思いきや、よく見ると1人で飲んだくれているオジさん多数。恐らく日本人であろう彼らにとって、ここはバンコクのパラダイスなのだろうか。

日本語で書かれた『串かつオーダー表』を渡される。えび、キス、しいたけ、レンコン、カボチャ……変わりダネの『雪見だいふく』なんてのもあるぞ。

ちょっと頑張りすぎなんじゃないの? と不安になるほど豊富なメニュー。

刺身、漬け物、酢の物、唐揚げ、寿司、カレー、鍋、そば、デザートにおしるこ……思いつく限りの居酒屋メニューはほぼ網羅していると言っていいだろう。

とりあえず注文したのは『炙りしめさば』。価格は148バーツ(約570円)だ。「タイならラーメンが3杯食べられる金額」とか言うのはナンセンス! 日本と同じ価格で刺身が食べられる時点で十分スゴいのだから。

うむ、普通にウマいぞ。

大生ビール(135バーツ / 約520円)はもちろんアサヒスーパードライ。なお『お通し』システムは存在しない模様だ。


・文句のつけようが皆無

ややあって運ばれてきたのはメインの串カツ

コンガリ揚がって見るからにウマそう……ってか間違いなくウマい。

ホラね……やっぱりメチャクチャウマい! むしろ日本の串カツ屋よりウマいかもしれないレベル。

『大阪名物とん平焼き』(108バーツ / 約416円)も完全に日本の味。世界中どこへ行っても醤油は簡単に入手できるが、意外とソースって食べる機会がないものだ。タイへ来て噛みしめる日本食の素晴らしさ……日本食って本当、いいものですよね。


・禁断のあのメニューも

さて……実はこの店、ある “禁断のメニュー” を提供していることでも知られる。日本では提供自体が禁じられている、そのメニューとは……


『レバ刺し』(98バーツ / 約378円)であるッ!!!


3年前の記事でもお伝えしたが、タイでは合法的にレバ刺しを食べさせる店が少数ながら存在しているのだ。食の安全に関してはもちろん自己責任であるが、ここへ来れば好きなだけレバ刺しを食べることができるぞ。お好きな方、ぜひ!

シメは『卵かけごはん』(68バーツ / 約262円)。このような南国で生卵が食べられることに驚きを隠せない。ごはんはもちろん日本米で美味。今日は興奮しすぎて少し酔っぱらってしまったな〜。

なおこの日の客層は日本人6〜7割、残りが西洋人とタイ人という体感だった。日本人客はおそらく半数以上が現地在住。みな楽しそうに日本語でおしゃべりしている。日本人が健康的な生活を送るには大衆居酒屋の存在が必要不可欠……そう強く感じたバンコクの夜だった。


〜この日の店内BGM〜
『青と夏』Mrs. GREEN APPLE
『クロノスタシス』BUMP OF CHICKEN
『Cry Baby』Official髭男dism
『情熱』UA

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.