来週の日本株は乱高下、不安拭えない中ボラタイルな相場に

来週の日本株は乱高下、不安拭えない中ボラタイルな相場に
 2月28日、来週の東京株式市場は、乱高下する相場展開が想定されている。写真は東京株式市場で2016年2月撮影(2020年 ロイター/ISSEI KATO)
[東京 28日 ロイター] - 来週の東京株式市場は、乱高下する相場展開が想定されている。新型コロナウイルスの影響に対して、短期間でマーケットに漂う不安感は拭えそうにない。引き続き景気悪化を織り込むことになりそうだ。ただ、短期間の急落で突っ込み警戒感も生じ、カラ売りを誘っている状況などを踏まえれば、きっかけひとつで急速なリバウンドを演じる可能性もある。目先はボラタイルな相場になるとみる関係者が多い。
日経平均の予想レンジは、2万0500円─2万2000円
週末に日経平均は1000円を超す下落となり、直近1週間で約2500円の下げを演じたが、新型ウイルスの経済に及ぼす悪影響を警戒する声が日増しに高まっており「市場はリーマンショック級の景気後退を心配し始めた。株価の動きとしては、東日本大震災直後の相場動向に似ている」(岡地証券・投資情報室長の森裕恭氏)という。
また、ここにきて外為市場でドル/円が108円台後半まで急速に円高に振れ、さらに円が買われれば、輸出関連を中心に株安を促す要因になりそうだ。
当面のポイントとして、岡三オンライン証券・チーフストラテジストの伊藤嘉洋氏は「新型ウイルス終息の見極め、企業業績への影響の見極め」の2点を挙げた上で、「明確な底入れをするためには、大型の財政出動を伴った本格的な経済対策が打ち出される必要がある」と指摘。その期待が生じるまで相場は不安定な状態が続きそうだ。
一方、日経平均の2万1000円を下回った水準は「2万0700円近辺がちょうどPBR1倍となり、これが下値の目安として強く意識されるようになる」(SBI証券・シニアマーケットアドバイザーの雨宮京子氏)という。「企業の内部留保が過去最高水準にある現在、PBR1倍を大きく下回って売り叩くのは難しい」(岡三オンライン証券の伊藤氏)との指摘もあり、この週末の水準が「陰の極」とみる関係者が少なくない。
国内証券の支店営業担当者によると「個人客のカラ売り比率は50%近くに達している。先物市場でもショートポジションが積み上がったとみられ、過去の経験則に従えば、強烈な戻り相場が起きても不思議ではない」とされ、上下いずれも大きく振れやすい需給状態にある。
東海東京調査センター・シニアストラテジストの中村貴司氏は「総じてみると需給面は厳しい状況になるが、これまでの急落相場のように、大幅な値幅調整の後は、きっかけひとつで劇的に戻る可能性もある」とコメントしていた。
タイムテーブルは、3月2日の2月米ISM製造業景況指数、3日のスーパーチューズデー、4日の2月米ISM非製造業景況指数などを控えるが、新型ウイルスに関するニュースが最大のポイントになる状況に変化はない。

株式マーケットチーム

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