独大統領、米中ロを批判 「大国の競争」で世界不信助長

独大統領、米中ロを批判 「大国の競争」で世界不信助長
シュタインマイヤー独大統領は、米国、中国、ロシアの3カ国が「大国の競争」を通して世界の不信と不安定性を助長させていると批判した。写真は2月14日、ミュンヘンで撮影(2020年 ロイター/Michael Dalder)
[ミュンヘン 14日 ロイター] - ドイツのシュタインマイヤー大統領は14日、ミュンヘン安全保障会議で行った冒頭演説で、米国、中国、ロシアの3カ国は「大国の競争」を通して世界の不信と不安定性を助長させており、これにより新たな核軍拡競争が引き起こされる恐れがあると警告した。
シュタインマイヤー氏はトランプ米大統領を名指ししなかったものの、トランプ氏が掲げた「米国を再び偉大にする」というスローガンを引き合いに出し、「近隣諸国やパートナー国を犠牲にした上で『再び偉大にする』」と批判した。
ロシアについては「軍事力のほか、欧州大陸の国境線の暴力による変更を再び政治手段とした」と批判。中国については「自国の国益に反さない場合にのみ、選択的に国際法を順守している」とした。
その上で「われわれの最も近い同盟国である米国は、現政権の下で国際共同体の概念を否定している」とし、こうしたことで「不信感の増大、軍拡、安全の低下が引き起こされ、最終的には核軍拡競争に至る」と警告した。
こうした状況に対しドイツは欧州の安全保障により大きく貢献するために国防費を増強し、米国が欧州からアジアへ焦点を移しつつあると認識した上で、米国との同盟を維持する必要があるとの考えを示した。
シュタインマイヤー氏はドイツ外相を務めていた2014年、ドイツは世界情勢により大きな責任を負う用意があるとする、いわゆる「ミュンヘン合意」を提唱する政治家の中心的人物だった。

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