合意なきEU離脱、英首相府が想定したショックを新聞がリーク

合意なきEU離脱、英首相府が想定したショックを新聞がリーク
8月18日、英国が欧州連合(EU)を合意なしで離脱した場合、食料や燃料、医薬品の不足が生じたり、通関手続きで渋滞が起きるほか、全国的な抗議運動の広がりによって社会が混乱する──。英議会前で7月撮影(2019年 ロイター/Hannah McKay)
[ロンドン 18日 ロイター] - 英国が欧州連合(EU)を合意なしで離脱した場合、食料や燃料、医薬品の不足が生じたり、通関手続きで渋滞が起きるほか、全国的な抗議運動の広がりによって社会が混乱する──。英紙サンデー・タイムズは18日、首相府が合意なきブレグジット(英のEU離脱)の影響予測をまとめた文書の内容を伝えた。
それによると、英仏海峡を通る海底トンネルを利用する大型貨物トラックの最大85%はフランス側の税関に対応する準備ができていないので、通関手続きに伴う交通渋滞が長ければ3カ月続く恐れがある。また北アイルランドとEU側の国境の厳格な管理を避ける取り組みは、持続不可能なことが証明されそうだ。
この文書は、合意なきブレグジットが現実化した場合の「最悪のシナリオ」ではなく、むしろ最も起こり得るショックを予想したという。
英首相府はリークされた文書についてはコメントしないと述べた。ただ「合意なき離脱」の準備を担当するゴーブ国務相は、文書は最悪のシナリオを設定したもので、現在の状況を反映しておらず、そうした事態への対応はここ3週間で加速していると強調した。
ゴーブ氏は記者団に「合意なき離脱となれば、ある程度の混乱が発生し、前途に障害が出てくるのは、誰もが分かっている。だからこそ、われわれは合意を望んでいる。しかし同時に英政府は以前と比べてずっと態勢を整えているのも事実だ。これらの文書に描かれている状況は、全くの最悪シナリオだと認識するのが大事だ」と語った。
ある英政府筋は、今回のリークはEUとの交渉に影響を及ぼすことを狙った元閣僚が行ったと非難した。

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