タイ総選挙、軍主導の政権が優勢 予想外の結果に疑いの声も

タイ総選挙、軍主導の政権が優勢 予想外の結果に疑いの声も
 3月25日、タイで24日、軍事政権から約5年ぶりに民政移管するための下院(定数500)総選挙の投開票が行われた。バンコクの投票所で撮影(2019年 ロイター/Athit Perawongmetha)
[バンコク 25日 ロイター] - タイで24日、軍事政権から約5年ぶりに民政移管するための下院(定数500)総選挙の投開票が行われた。選挙管理委員会によると、開票率94%の段階で、軍政の継続とプラユット暫定首相の続投をめざす新党「国民国家の力党」が769万票獲得し、タクシン元首相派の「タイ貢献党」の約723万票を上回っており、予想外の優勢に立っている。
選挙委員会は当初、暫定開票結果を24日に発表する予定だったが、25日に延期すると説明。これまで公表されたのは得票数のみで、これは下院の単純小選挙区制度では獲得議席数に直結しない。タイ貢献党は事前の圧勝予想ほど得票数が伸びなかったが、北部と北東部で人気が高いことを踏まえると、議席数で首位に立つ可能性はまだあり、プラユット暫定首相の続投は確定していない。
国内では多数の国民がソーシャルメディアで選挙結果に疑いの声を上げている。国内のツイッター上ではタイ語で「選挙委員会のしくじり」、「選挙不正」と書かれたハッシュタグがトレンド1位と3位に浮上した。
多くのツイートでは、投票率と一部の選挙区での投票数の数字に整合性がないとの指摘がされている。また、全体の投票率が70%弱と、予想を下回ったことを疑問視する投稿もみられた。
タイ貢献党の報道官は「一部の選挙区で有権者の数よりも投票数が多いという余分な票があった疑いがある」と述べた。「票の買収が報告されたという疑惑もある」とした。その上で、同党の法専門家チームは選挙管理委に対して申し立てを行うかどうかについて検討していると明らかにした。
ロイターが算出したところによると、小選挙区で争われた350議席の獲得数は、貢献党が少なくとも129、国民国家の力党が102となる見通し。
下院の残る150議席は比例代表制で割り当てられる。
タイ国会は上院と下院の二院制。選挙で決定する下院と、軍が事実上任命する上院(定数250)の全750人が次期首相を選ぶ。軍が考案したこの選挙制度は、親軍政党に有利になっているとの指摘がある。親軍政党は下院の126議席を取れば上院と合わせてプラユット氏を選任できる。一方、タイ貢献党は他党と連立を組むなどして376議席を確保する必要がある。
選挙は、タイ貢献党と、国民国家の力党、エリート層が支持する「民主党」による三つどもえの戦いとなった。民主党は伸び悩み、党首のアピシット元首相は責任を取って党首を辞任すると発表した。
*内容を更新しました。

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