タイ、第3四半期はゼロ成長 政府は18年見通し弱める

タイ、第3四半期はゼロ成長 政府は18年見通し弱める
 11月19日、タイ国家経済社会開発庁(NESDB)が発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)は、季節調整済みで前期比0.0%となり、プラスの予想に反して成長が停滞した。写真はチャオプラヤ川とバンコク中心部。2015年4月にバンコクで撮影(2018年 ロイター/Athit Perawongmetha)
[バンコク 19日 ロイター] - タイ国家経済社会開発庁(NESDB)が発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)は、季節調整済みで前期比0.0%となり、プラスの予想に反して成長が停滞した。輸出や観光が軟調だった。同庁は2018年の成長率について、これまでより控えめな見通しを示した。
第3・四半期のGDP伸び率は、2014年第1・四半期(0.4%減)以降で最低となった。
ロイターがまとめた市場予想は0.6%増。調査対象のエコノミスト全員が一定の成長を見込んでいた。第2・四半期の改定値は0.9%増。
第3・四半期のGDPは前年比3.3%増。市場予想は4.2%増、第2・四半期は4.6%増だった。
同庁は、2018年のGDPを4.2%増と予想。従来予想は4.2─4.7%増だった。
2018年の輸出の予想は7.2%増と、従来予想の10.0%増から下方修正した。
2019年のGDPの予想は3.5─4.5%増、輸出の予想は4.6%増。
ロイターがまとめたGDPの市場予想は、2018年が4.5%増、2019年が4.2%増。昨年のGDPは3.9%増と5年ぶりの高水準だった。
キャピタル・エコノミクスは、タイの成長率が「向こう1年で大きく回復する可能性は低い」との見方を示し、19年の成長率は3.5%と予想した。
<利上げ先送りとの見方も>
市場では、経済成長の原動力である輸出と観光が低迷し、2011年以来初となる利上げが先送りされるのではないかとの見方が浮上している。
タイ中銀は来月19日に理事会を開催するが、一部のエコノミストは利上げを予想している。
中銀は先週、政策金利を据え置いたが、緩和政策の必要性が低下しているとの考えを示唆した。
ING(シンガポール)のエコノミスト、Prakash Sakpal氏は「今年・来年の経済動向に対する当局の楽観論や、中銀の最近のタカ派的な発言を後退させるような悪い内容だ」と指摘。
ANZも、来月の政策正常化開始に異議を唱える内容だとの見方を示した。
ただ、依然として利上げを予想している市場関係者もいる。
ノムラ(シンガポール)のエコノミスト、Charnon Boonnuch氏は、今年の経済成長率はこれまでのところ4.3%で「潜在成長率を依然として上回っている。タイ中銀が政策余地をつくるために利上げすることは可能なはずだ」と分析。
UOBのエコノミスト、Manop Udomkerdmongkol氏も、経済成長率は「依然良好だ」と述べた。
タイでは、輸出が伸び悩んでいるほか、中国人観光客47人が死亡した海難事故により、観光も打撃を受けている。
第3・四半期の外国人観光客は1.9%増と、前四半期の8.4%増から急激に鈍化。中国人観光客は前年同月比で9%減少した。
9月の対中輸出は前年同月比14%減。米中貿易戦争で今後も低迷が続く可能性がある。
第3・四半期の輸出は前年比2.6%増。前四半期は12.3%増だった。
*内容を追加しました。

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